コラム 債務整理 本格学習その2 「債権調査」

前回分はこちら:債務整理 本格学習その1  受任通知


先日の続きです。先日の「受任通知」を出しますと、債権調査票(つまり、貸し借りのデータ)が返ってくる訳です。これを取引履歴、取引データと呼びます。

これは業者さんによってフォーマットは色々あり、そもそも利息制限法で引き直したのが来る時もあるし、約束の利率のときもあります。

利息制限法で引きなおしたものが来た場合には、 貸し借りデータがグレーゾーンでなくなっています。過払いの場合には、過払いの額が書いて返送されてくる時もあります。

利息制限法で引きなおされておらず、約束の利率で送られてきた場合には、グレーゾーン利率のまま、つまり皆さんが相談しにくる時の額で書かれてるはずです。当然本当は過払いの場合でも、過払いになっていない計算書として送られてきます。

利息制限法に引き直してないのは引き直し、引き直してあるものはそのまま処理していくことになります。


しかしそれにも落とし穴が色々あります。



①届け忘れなどによる「もれ」

みなさんの中には、私共の事務所に債権者の一部を届け忘れている人がいます。あるいは隠している人もいます。

ショッピングや他人の保証人分、滞納家賃とか忘れてませんか?もしかすると隠してたとされて、気がつかずに破産を申し立てた場合、破産で免責されないと大変です。破産の場合など早急に届けて下さい。

任意整理や民事再生だって、債権者を平等に扱わないとダメだし、しかも源資をオーバーするもととなっては(例えば月5万円なら業者に返していきたいと言っ てても後からドカーンと追加の債務が来ちゃうと、結局計画が立たなくなる)困りますから要注意ですよ。


②業者による「履歴の途中開示

業者によっては、あんまり古いのを隠す為に、途中開示します。過払いが大きくならないようにする訳ですよ。

つまり、たとえば昭和(佳い時代でしたね~)から借りてるのに平成8年頃から開始したかのように出してくる訳です。

この際、例えは平成8年なら平成8年の残高が、端数で始まってれば、「これは初回の貸付けじゃない!」と、すぐ見分けられるのですが、端数でない時はこれ が最初なのかなと、「うっかり」すると騙されます。また、マニアックなパターンでは中抜きというのもありますが、これは個別に教えます。

このような「うっかり」を防ぐ為に、みなさんの記憶や手持ちの資料と業者の提出してきた資料を見比べるのです。


③過払い利息の計算

又、業者がデータを開示してきても、過払いの時、業者は利息をつけてきません。しかし、裁判例で年5%、6%の過払い利息は必ずつく事になっているので (6%は、最高裁判所で否定されたという見解もあります)、それをつける計算をこちらでします。

その結果業者のデータだと過払い額が-20万円なのに利息をつけると過払い額が-37万とかになったりするのです。


以上のように「落とし穴」達をさけつつやるのです。

次回、利息の引きなおしのイメージをいくつかのタイプに分けて解説します。

コラム 債務整理 本格学習その3 「利息引き直しのイメージ」