大変といえば大変。楽な人は楽なんだと思います。平均的に弁護士になる為の司法試験に合格するまでに、4~5回は受験しないと受からないと言われています。大学を出てからですから、結構な年になりますね。
私は2回目で合格してますが、その分、人の何倍も何十倍も努力しました。4~5回かかった人以上に勉強したと思います。(詳しくは「スポーツと司法試験」(早稲田経営出版)という本を読んで下さい。)。一部の天才を除いて、やはり多くの人にとっては楽ではないと思います。
YESともNOとも言えると思います。
(1)まず、世の中の全ての人の平均よりは収入は多いと思います。
でも考えてみて下さい。弁護士になる人間の多くの人は高学歴です(それがいいか悪いかは別として)。
高学歴の人は、公務員だろうがサラリーマンになろうが、医者だろうが、みんな平均よりはお金持ちだと思います。(これもいいか悪いかは別にして)
(2)それでも弁護士がお金持ちに見えるのは、若い頃比較的収入が多いからです。つまり、サラリーマンは若い頃は給料が安く、年をとると昇給しますが、弁護士にはそのような事がないので、生涯通して同じ位の年収なので、若いうちは他の仕事と比較すると高収入に見えます。でもその分、社宅もないし、退職金もないので、合計するとあまり変わりません。(むしろ、銀行員の生涯年収より低いといわれています)
特に今後弁護士も人数が増え、大変になるようです。頭が痛いです。
確かに一般の人からは、費用が何十万円とかいう数字ですので多いですよね?
しかし、弁護士がこの内、自分の収入に出来るのは一部です。事務所の経費(賃料、人件費)、交通費、本代にあっという間に消えるので、頂いた費用が自分の収入ではないのです。サラリーマンの方のお給料(全て自分のもの)と弁護士の売上(ほとんど経費)は全く性質が違うのです。
それでも払うほうからみれば大きな負担ですが、お医者さんのように保険があれば、費用はもっと安くなる(皆さんが、お医者さんに1回2000円払えば、お医者さんは実際は1万円位売上げているのです。)のですが、それもないので高くなる傾向があります。
これもよくある質問ですが、多くの弁護士(一般の民事事件をやっている人)は通常の時間(つまり、朝9時、10時から夕方)は、裁判所や打ち合わせ、法律相談、その移動等でほとんど事務所にいないのが現実です。ですから、電話に出られないのです。結果的に、電話はためにためて一日の最後にまとめてかけるのです。(顧問先は別ですが)
それでも夜遅くや土日は事務所にいるはずなのに何で電話に出ないんだ、どうして平日の夕方や土日の午前のみ電話受付するんだ、夜10時でもいるんなら代われ、という疑問があるようですが、これは「起案」つまり、書類を作っている時間なのです。
つまり、ほとんど平日の夕方までは、外出しておりますが、その間に宿題の書類(次の裁判までに作るもの、依頼者への報告書、相談内容のまとめ)が山のように出るのです。
それを集中して、かつベストなものを作るには、落ち着いてできる環境が必要です。一々電話に出ていたら、アイディアが飛んで集中出来ず、裁判に負けたり、ミスを起こし結局、お客さんに迷惑をかけてしまうのです。
(学生時代の勉強だって、皆さんお仕事だって、好きな人から電話があったら、集中力が飛んじゃいますよね)
だから、やはり、休日にも電話に出られず、留守電とかにメッセージが入ると休日分はまとめて日曜の夜や月曜の朝とかに掛ける形になるのです。
この様にして、顧問等の例外は別として(顧問は緊急の対応が出来るから顧問料をもらえる。)、電話はすぐに出られないのです。
これは絶対教えられません。尚当事務所では顧問先や継続的に付き合いがある人以外に、弁護士の携帯を教えたら、事務員は解雇するといっております。
弁護士はお客さんを沢山抱え込んでいます。
そのお客さんが仮に100人いて、週に1回携帯に電話してきたらどうなるでしょう?
御1人と5分しゃべるとして、
100人×4回(1ヶ月))=400回(1ヶ月)
弁護士は毎日10回以上も職務時間外に電話を受ける事になり、書類作りはミスをするし、滅多に無い休みで旅行をしてても、電話が来て、プライベートまで、ずたずたにされてしまいます。ですから、教える訳には絶対いかないのです。
しかも、中にはこちらのお客さんが、問題のある相手方に「文句があるならこの携帯にかけて弁護士に聞け。」なんて言った日には、相手方から脅されたり、住所を調べられるだろうし、人生自体ずたずたにされてしまいます。
ですから、顧問は別として、携帯電話を教えるなど、ありえないことなのです。
これには3つの原因が考えられます。
(1) 弁護士の性格
(自分は偉いと勘違いしている、元々人の話を聞く力がない。勉強ばかりしてきたから、人と話すのが苦手)
(2) 依頼者の性格
(相談態度が悪い、話している内容が訳がわからない、不当なアドバイスを求めてくる)
(3) 相性
(1)は弁護士の問題、(2)は依頼者の問題でどちらも論外として、(3) は、今までは弁護士として許されましたが、今後は弁護士も人数が増え許されなくなっていくと思います。
そうなった時、弁護士もサービス業として、「お客様は神様だ。」という姿勢で、相性が悪くても、笑顔で対応する必要があると思ってます。
つまり、今までは先生業、聖職として一定の尊敬と一定の収入の基、仕事を選びましたが、今後は選べなくなるからです。私は下町の人間なので比較的気安い雰囲気といってもらえるのですが、反面、視力が悪いので目つきが悪く、印象が悪いかもしれないので、今後は気をつけたいと思います。